治療戦略に役立つ 臨床医・病理医のための乳腺病理の見かた・考え方**メジカルビュー社/増田 慎三/978-4-7583-1817-4/9784758318174**
発行 2022年10月
判型:B5判 204頁
ISBN 978-4-7583-1817-4
編集:増田 慎三 / 堀井 理絵
薬剤選択の根拠である病理診断がわかる臨床医になれる! 治療戦略がわかる病理医になれる!
乳癌の治療薬の開発は目覚しく,治療効果の高い薬剤が次々に臨床で使われるようになっているが,一方で5つのサブタイプそれぞれに治療効果の高い薬剤は異なる。そのため,効果的な治療薬を選択するうえで病理診断はたいへん重要な役割を担っている。安心できる医療を提供するためには,臨床医と病理医が“治療戦略”という同じ方向を向いて病理像を見て/考えることが必須である。
本書では,検査の組合せや病理像に治療戦略を併記して臨床医と病理医の双方の視点から,相互に理解を深められるように重要なポイントをコンパクトに解説する。HER2免疫染色などの古典的な検査方法はもちろんのこと,生検のしかた,病理標本の作成などの「実は知らなかった!」ような基本的な知識から,免疫チェックポイント阻害薬のPD-L1,癌ゲノム医療などの新しい治療法まで豊富に紹介。検査から治療まで,乳腺病理の全貌を理解できる一冊。
【目 次】
I 総論
1 乳腺画像診断のポイント ?基本的な診断の流れ,良性・悪性の鑑別?
2 乳頭異常分泌症の診断?早期癌の発見動機
3 細胞診/針生検/吸引式組織生検の適応と工夫
【コラム】針生検や穿刺吸引細胞診による癌細胞の播種について
4 穿刺吸引細胞診,針生検標本の病理診断
【スペシャルメッセージ】正確な病理診断のために臨床医が心がけること
5 病理検体の取り扱い(針生検検体,手術検体)
6 病理診断報告書の読み方
【コラム】癌のマッピングの有用性
【スペシャルメッセージ】病理所見がいかに臨床に役立っているか,患者さんとのコミュニケーションで得た経験
II 良性疾患の診断
1 線維腺腫と葉状腫瘍
【コラム】線維腺腫と葉状腫瘍?臨床上の鑑別,手術適応について
2 乳管内乳頭腫
【コラム】乳管内乳頭腫?臨床上の癌との鑑別,手術適応について,切除方法の工夫
3 嚢胞,腺症および関連病変大
4 良性上皮増殖性病変および異型上皮内病変
5 腺腫(管状腺腫,授乳性腺腫,乳管腺腫,乳頭部腺腫)
III 悪性疾患の診断
1 非浸潤性乳管癌/非浸潤性小葉癌
【コラム】低リスクDCIS に対する手術省略の可能性
2 微小浸潤癌
3 浸潤性乳管癌
4 浸潤性小葉癌および乳管- 小葉混合癌
【コラム】浸潤性小葉癌の臨床上の特徴
5 特殊型の浸潤性乳癌 ? ER 陽性HER2 陰性乳癌の頻度が高いタイプ(管状癌,篩状癌,粘液癌)
【コラム】ER 陽性HER2 陰性例の頻度が高い特殊型の浸潤性乳癌の臨床上の特徴
6 特殊型の浸潤性乳癌?TNBC の頻度が高いタイプ(化生癌,アポクリン癌,髄様癌,腺様嚢胞癌,分泌癌)
【コラム】TNBC ?臨床医の視点から
IV Biology評価
1 浸潤径と組織学的波及度,脈管侵襲
【コラム】浸潤性乳癌において評価すべき病理組織所見
2 病理学的グレード分類(組織学的グレード分類,核グレード分類)
【コラム】臨床医からみた乳癌の予後因子,効果予測因子の多様化
3 ER / PgR
【コラム】ER / PgR 判定の臨床的意義
4 HER2
【コラム】HER2 の免疫組織化学法 まれな染色パターンについて
5 抗HER2 療法
6 Ki67
7 Ki67の臨床的意義
8 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)
【コラム】腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の臨床的意義
9 PD-L1
10 免疫チェックポイント阻害薬
11 乳房部分切除術と乳頭乳輪温存乳房全切除術の断端診断
【コラム】温存乳房照射の個別化?省略の可能性
【コラム】断端陰性の完全切除を目指した乳房部分切除術 ?術中迅速病理診断の位置づけ
【コラム】乳房再建術の最新情報
12 術前薬物療法の組織学的効果判定
【コラム】 pCR / Grade 2bの臨床的意義( JBCRG試験などから)
13 リンパ節転移の評価
【コラム】腋窩リンパ節マネージメントの変遷
14 遠隔転移巣の確定診断とBiology 評価
【コラム】治療経過でBiology が変化した場合の治療は
V 多遺伝子アッセイ・がんゲノム医療
1 遺伝子検査用組織の選択と準備
2 多遺伝子アッセイ
Oncotype DX,MammaPrint/ BluePrint,Prosigna(PAM50-ROR),Curebest 95GC Breast
3 癌遺伝子パネル検査 [多田 寛,石田孝宣]
【スペシャルメッセージ】若手専門医が描く乳腺診療の将来展望 ? escalation,de-escalation,個別化?
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