実践SDH診療**中外医学社/日本プライマリ・ケア連合学会/978-4-498-12006-8/9784498120068**
できることから始める健康の社会的決定要因への取り組み
発行 2023年5月
判型:A5判 282頁
ISBN 978-4-498-12006-8
【監 修】
日本プライマリ・ケア連合学会
【編 著】
近藤 尚己(京都大学大学院医学研究科 社会疫学分野?主任教授 / 東京大学未来ビジョン研究センター?特任教授)
西村 真紀(川崎セツルメント診療所)
SDHってなに? 臨床にどう活かす? エキスパートが本気出して考えてみました!
目の前の患者の背景にあるSDH(健康の社会的決定要因)に気づく重要性が叫ばれています.SDHを日常臨床に取り入れることは難題ですが,個別アプローチ・地域アプローチ,社会的処方,社会的バイタルサインなどを通して,日々のモヤモヤに対処できる切り口が見つかるはずです.ジェネラリストとパブリックヘルスの研究者が力を集結させて作り上げた本書から,多様な生きづらさを抱える患者について考えるヒントをぜひ探し出してください.
【目 次】
第1章 SDH の考え方とアプローチの技法
[1]SDHへのアプローチの考え方
1. SDH とは
2. 社会的要因がいかにして健康を蝕むか: SDH のメカニズム
3. SDH への対応のキホン
[2]個別アプローチと地域アプローチ
1. 個別アプローチ
2. 地域アプローチ
3. 個別アプローチ・地域アプローチの具体例
[3]慢性疾患のSDH─エビデンスとその対応
1. 高血圧
2. 糖尿病
3. メタボリック症候群
4. 考察
[4]臨床でのSDH診療の実践(1):社会的処方
1. 社会的処方は「人が中心」「エンパワメント」「共創」ですすめる
2. 社会的処方の進め方
3. リンクワーカーは誰だ?
4. 社会的処方の実際
5. 医療機関外にも広がる社会的処方
[5]臨床でのSDH 診療の実践?: 社会的バイタルサイン
1. 健康の社会的決定要因の視点を臨床に活かす
2. 社会的バイタルサインとは
3. 事例の検討
4. 様々な場面で活用されるSVS
5. SVS のこれから
[6]SDH へのアプローチ─地域・政策レベルでできること
1. 対策の3 つのレベル・スパン
2. 医療職の社会・政策との関わり方
3. 治療的アプローチと予防的アプローチ
4. 健康格差対策のための7 原則
〔コラム〕コロナ禍のSDH
1. 社会経済状況と新型コロナ
2. 支持政党と新型コロナ
3. 性別と新型コロナ
4. 在日外国人と新型コロナ
5. コロナ前からの地域連携と対応の特徴
6. 示唆
第2章 患者の事例から考えるSDH への対応
[1]貧困・生活困難
1. 症例から考える貧困と医療
2. 貧困の歴史と定義
3. 現状
4. 対策
5. 提案
[2]障害者
1. 定義と歴史
2. 現状
3. 対策
4. 提案
〔コラム〕生活困窮者の健康支援に必要なこと
─複眼的な視点でスティグマを与えない─
[3]性的指向と性自認(SOGI),LGBTQ
1. 解説
2. 現状
3. 対策
4. 提案
[4]女性
1. 解説
2. 現状
3. 対策
4. 提案
[5]男性
1. 解説(Masculinities とSDH)
2. 現状
3. 対策
4. 提案
[6]ホームレス状態
1. ホームレス状態にある人が抱える健康格差
2. 現状
3. 対策
4. 提案
[7]在住外国人
1. 解説
2. 日本の現状
3. 対策と提言
4. おわりに:「外国人」とは誰か
[8]ライフコース・アプローチ
1. ライフコース疫学
2. ライフコースに伴うSDH の集積と増幅
3. 提案
[9]マルチモビディティとSDH
1. マルモとは?
2. SDH との関連: social determinants of multimorbidity
3. わが国のマルモ
4. COVID-19 などとの関連
5. 対応
6. これから
[10]地域特性
1. 解説
2. 現状
3. 対策
5. 提案
〔コラム〕へき地の事例
1. へき地医療の教科書におけるSDH の位置づけ
2. 事例1(宮城県網地島): 漫談を用いた啓発活動
3. 事例2(沖縄県離島部): 施設入所・進学・看取り
4. 事例3(高知県大川村): 山間部へき地の実態と限界
第3章 実践事例から考えるSDHへの対応
[1]医療機関でできる生活困窮者の支援
1. 生活保護利用者の健康動向と課題
2. 無料低額診療事業
[2]医師会での実践事例─宇都宮市医師会の取り組み─
1. 社会支援部設立の経緯
2. 社会支援部の基本的理念
3. 社会支援部の活動
4. おわりに
〔コラム〕海外での事例
[3]診療現場でのSDHの評価と活用の実際
1. 診療現場での評価の重要性と現状
2. 日本HPH ネットワークによるスクリーニングツール
3. 診療情報提供書でSDH を共有し,支援のために連携する
[4]医学・医療者育成に不可欠なSDH教育
1. なぜ医学部でSDH を学ぶのか
2. 医学部の必修科目としてのSDH
3. 卒前・卒後教育でどのようにSDH を取り上げるか
4. SDH 教育の留意点と教材について
[5]学会によるアドボカシー─日本プライマリ・ケア連合学会の取り組み─
1. 三重宣言とは
2. 三重宣言後の情報発信
〔コラム〕SDHに取り組む医療者のために