作業に焦点を当てた精神科作業療法**CBR/南 庄一郎/978-4-911108-31-4/9784911108314**
発行 2024年4月
判型:B5判 260頁
ISBN 978-4-911108-31-4
【編 集】
南 庄一郎(大坂府立病院機構 大阪精神医療センター 作業療法士)
木納 潤一(医療法人鴻池会 秋津鴻池病院 作業療法士)
さまざまな困難はありながらも、私たちは対象者の作業から目を逸らしてはいけない。
本書では、作業に焦点を当てた実践を可能にする理論・モデルとして、人間作業モデル(MOHO)、作業遂行と結びつきのカナダモデル(CMOP-E)、生活行為向上マネジメント(MTDLP)、作業療法介入プロセスモデル(OTIPM)、作業に根ざした実践2.0(OBP2.0)を取り上げた。精神科病院や精神科訪問看護などの現場で勤務する方々は、本書に記載された各理論・モデルの概要、そして実践例を読むことによって、どのような視点で対象者の作業に焦点を当てるべきかを理解され、より効果的な臨床実践につなげることができる。
さらには、精神障害領域以外で勤務し、精神科作業療法に関心を持つ作業療法士、作業療法学生、他の専門職にとっても、精神科作業療法士の実践を広く知っていただける良い機会になる。
【目 次】
第1章 作業に焦点を当てた実践
1.作業とは何か
2.作業療法とは何か
第2章 作業に焦点を当てた精神科作業療法の実践を可能にするモデル
1.人間作業モデル(MOHO)
2.作業遂行と結びつきのカナダモデル(CMOP-E)
3.作業療法介入プロセスモデル(OTIPM)
4.生活行為向上マネジメント(MTDLP)
5.作業に根差した実践2.0(OBP2.0)
第3章 作業に焦点を当てた精神科作業療法の実践
1.人間作業モデル(MOHO)に基づく精神科作業療法
1)病状の不安定さと愛着障害から問題行動を繰り返す統合失調症の女性対象者への関わり―興味関心のある作業を通してケアの進展を図る
2)生活史叙述から紡いだ作業を日課に取り入れたアルコール依存症を抱える高齢の対象者
3)就職失敗を機に引きこもり生活を送っていた成人後にADHDと診断された対象者が再び就労に向けて動き出すまでの関わり
2.作業遂行と結びつきのカナダモデル(CMOP-E)に基づく精神科作業療法
1)精神科病棟/統合失調症の対象者への関わり―クライエントとの協働の過程を通して,可能性の見通しをもてたことが作業の可能化につながった精神科病院におけるCMOP-Eの視点を活用した個別作業療法実践事例
2)精神科訪問看護/うつ病の対象者への関わり―在宅生活をするうつ病の女性に対してCMOP-Eを用いて関わり段階的に家事ができるようになった一事例―
3.生活行為向上マネジメント(MTDLP)に基づく精神科作業療法
1)MTDLPは医療観察法医療を補完する―医療観察法病棟における統合失調症対象者へのMTDLPを用いた地域生活移行支援―
2)精神科訪問看護におけるMTDLPの実践報告―金銭管理が苦手な統合失調症事例への介入から―
4.作業療法介入プロセスモデル(OTIPM)に基づく精神科作業療法
1)希死念慮からリストカットを繰り返す女子中学生に対するESIを用いた復学支援―児童思春期精神科病棟における作業療法―
2)作業療法介入プロセスモデルに基づく回復期リハビリテーション病棟における統合失調症患者への支援
5.作業に根差した実践2.0(OBP2.0)に基づく精神科作業療法
1)OBP2.0を用いた訪問支援により,家族との関係性を再構築し,趣味の再開と新たなコミュニティに所属ができた地域在住の混合性不安抑うつ障害事例
2)生活に対する思いを捉えづらい知的障害をもつ男性に対し,OBP2.0に基づいて生活支援を行った一事例
第4章 作業に焦点を当てた精神科作業療法部門のマネジメント
1.共和病院の場合
2.埼玉県立精神医療センターの場合
Column
アーツアンドクラフツ運動
ダイナミックな交流
作業適応障害
予想-選択-経験-解釈
役割同一性
作業療法の質を評価するための4つの連続帯
対象者に対する「陰性感情」とどう向きあう?
社会生活スキルトレーニング(SST)
アルコール(AL)依存症に関する動向
地域生活を見据えたプログラム設定
ADHD専門プログラム
ピアサポート
精神科COPMは使えない?
作業の可能性の基盤,OTがもつべき10の技能
SDS・UBOM・物差し落としテスト(Ruler Catching Time:RCT)・バウムテスト・ACLS-5
FAI・GAF
医療観察法病棟と司法精神科作業療法
精神科作業療法とMTDLP
個別:金銭管理プログラム
精神科訪問看護での作業療法とMTDLP
地域での作業療法のなかでのMTDLPの利用
大阪精神医療センター 児童思春期精神科病棟
児童思春期精神科病棟における精神科作業療法
個別SST
回復期リハビリテーション病棟
精神障害者に対する偏見
福祉用具
アイデンティティ・クライシスを支えてくれたOBP2.0
今回用いた作業に焦点を当てた評価と介入ツールの紹介
精神障害領域におけるOBP2.0
ADOCとは?
障がい者支援センター「てらだ」とは?
作業に焦点を当てた入院患者への作業療法実践例
作業に焦点を当てた精神科デイケア利用者への作業療法実践例
診療報酬改定の実践例について
精神科作業療法の転換期
耳の痛い話
写真
がま口キーホルダー
事例1 30歳代女性,統合失調症,ADHD,ASD
事例2 40歳代男性,アルコール依存症,肝機能障害
埼玉県立精神医療センター作業療法ロゴ