0次予防から始まる 健康国家戦略**メディカルレビュー社/加藤 浩晃/978-4-7792-2969-5/9784779229695**

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3,850円(税込み)
2040年における医療の未来予想図
編著
加藤 浩晃
出版社
メディカルレビュー社
分野
公衆衛生学

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特集
新刊
販売期間
2026/07/17~
商品コード
9784779229695
発行 2026年7月
判型:四六判 344頁
ISBN 978-4-7792-2969-5

「医療DXの先には、医療の抜本的な変化が待ち受けている」と著者の加藤浩晃先生は言います。

 それは医療における「治療モデル」の限界と「健康設計モデル」への変化です。

 従来、医療は病気を治すことを中心に構築されてきましたが、著者が唱える「医療4.0」(医療のDX化)による医療の多角化・個別化・主体化が浸透することにより、医療の主役は予防へと移り、医師は「病気の治療者」から「健康の設計者」へと役割が変わっていきます。

 予防の概念も「病気を防ぐ」のではなく、「病気を成立させない」という「0次予防」を主眼として組み立てられるようになります。

 医療業界は、現在の姿ではもはや生き残れません。医療機関、製薬企業、医療機器産業、医療流通、生命保険会社など、医療業界の主要メンバーは、ビジネスモデルの大変革を強いられます。さらに、医師のキャリアプランや国の医療行政も大きく変わっていきます。

 本書は、このような「0次予防」を出発点とした医療とそれに伴う社会の変化を、大胆に予想しています。本書の内容は、人口減少による衰退が予想される日本に対する「生き残り戦略」でもあります。

 2100年に向けて、さらなるグローバル化、DX化の荒波を乗り越えるためにも、医療業界のすべてのステークホルダー(利害関係者)に読んで頂きたい1冊です。

【目 次】
はじめに
第1章 医療の前提はなぜ「治療」から「設計」へ変わるのか
 ・治療モデルはなぜ成功し、なぜ限界を迎えつつあるのか
   治療中心モデルの誕生
   環境が変わると、最適なモデルも変わる
 ・多角化──医療は「病院の中」から「社会インフラ」へ
   境界線が消えていく
   医療産業の構造が変わる
   病院中心モデルの揺らぎ
   医療が「社会設計機能」に変わっていく
 ・個別化──「平均」から「個体」へ
   標準治療の成功とその限界
   ゲノム医療の衝撃
   治療最適化から「生活設計」へ
 ・主体化──「患者」から「設計者」へ
   パターナリズムの終焉
   情報アクセスの民主化
   主体化は「患者教育」とは違う
   「自己設計する個人」の出現
   医療者の役割が変わる
 ・3つの変化が収束する先──「0次予防」
   多角化・個別化・主体化が同じ方向を向いている
   なぜ「設計」へと収束するのか
   収束点を「0次予防」と名づける
   
第2章 0次予防とは何か──設計医療の定義
 ・1次・2次・3次予防の限界
   予防医療の3段階
   3つの予防に共通する構造的限界
   すべては「リスク前提型」である
 ・0次予防とは何か──構造設計という医療
   火事を例に考える
   構造と設計
   3つのレベルで設計する
   糖尿病を例に見る
 ・技術的基盤──ゲノム×ライフログ×デジタルツイン
   ゲノム──生物学的設計図
   ライフログ──日常の記録
   デジタルツイン──仮想的自己
   3つが統合された時
 ・「病気を防ぐ」から「病気を成立させない」へ
   「防ぐ」という発想の限界
   「成立させない」という発想
   閾値モデルから連続モデルへ
   レジリエンスを設計する
   マイナスをゼロにするのではなく、プラスを創造する
   
第3章 医療機関はどう変わるか
 ・病院──治療拠点から健康設計拠点へ
   スマート病院の限界
   設計拠点としての病院
   病院経営と機能分化
 ・クリニック──身近な健康設計パートナーへ
   クリニックが抱える構造的課題
   健康設計拠点への進化
   地域の健康設計パートナーとして
   短期実装としての受診の3層化
   第1層:AIによる一次評価
   第2層:オンライン診療
   第3層:対面診療
 ・在宅医療──「補完」から「中心」への再定義
   従来の在宅医療の位置づけ
   在宅を「中心」に据える
   在宅設計拠点と地域統合
   ・常時モニタリング社会と倫理
   イベント型から常時管理型へ
   プライバシーと監視社会のリスク
   倫理的フレームワークの必要性
   
第4章 製薬企業の再設計 ─治療薬から予防・健康へ─
 ・バイオ医薬品の限界
   低分子からバイオへの転換
   バイオ医薬品の経済的矛盾
   治療薬モデルの行き詰まり
 ・予防・先制市場の爆発
   病市場の台頭
   GLP-1受容体作動薬による現象が示すもの
   予防・先制医療の市場規模
 ・製薬企業の参入と先制医療
   先制医療──製薬企業の次なるフロンティア
 ・サプリ・医薬の境界崩壊
   現在の規制構造
   境界崩壊の4つの地殻変動
   規制の再設計が避けられない
   市場再編の衝撃
 ・遺伝子×生活習慣×投与設計
   「なぜ効かないのか?」の謎が解ける
   生活習慣データが投与設計を変える
   AIによるリアルタイム最適化
 ・健康設計企業への転換
   「薬を売る企業」の終焉
   健康設計企業とは何か
   既に動き始めている巨大な転換
   転換を阻む4つの壁
   2100年に「製薬会社」は存在しているか
   
第5章 医療機器産業の進化 ─検査から常時モニタリングへ─
 ・従来の検査モデルから常時センサーへ
   従来の検査モデル──「点」としての医療
   POC検査の登場──縛りの一部が解ける
   CGMが開いた扉──検査が「線」になる
   連続データが変える医療の本質
   医療機器メーカーへの構造転換圧力
 ・医療機器のサブスク化
   「レイザー&ブレード」の終わり
   MDaaSという新しいパラダイム
   MDaaSは既に始まっている
 ・データプラットフォーム支配
   ハードウェアの価値が急速に失われている
   プラットフォームという新しい戦場
   勝者の条件
 ・検査機器から健康設計のインフラへ
   従来の医療機器──「病気の患者」のための装置
   健康設計インフラへの進化
   具体的に、何が起きているのか
   健康設計機器に求められる能力
   2100年、「医療機器」は姿を消しているかもしれない
   
第6章 医療流通の再定義 ─物流から健康を支える仕組みへ─
 ・医療価値の具現化企業へ
   医薬品卸の現状──過小評価された巨人
   業界が直面する課題──すべての問題は1つに収束する
   M&Aの本当の意味──「規模」ではなく「変革」のための起点
   「医療価値の具現化企業」への再定義
   医薬品卸だけが立てる「見えない展望台」
 ・データハブ化
   医療DXの推進役──「分かっているが進まない」を動かす
   AIとIoTの活用──「見えなかったもの」を見えるようにする
   データビジネス──「知られざる高収益事業」の誕生
 ・地域健康インフラ化
   医療インフラとしての卸──無自覚な巨人
   地域包括ケアへの貢献──「結果的につないでいる」から「戦略的につなぐ」へ
   過疎地・高齢化地域への対応──「最後の防波堤」の経済性
   地域健康インフラの将来像
 ・医療安全保障と設計医療
   設計医療における卸の役割
   持続可能な医療体制への貢献
   2100年、「医薬品卸」という名称は残っているか
   
第7章 医師はどう変わるのか ─治療者から設計者へ─
 ・治療者モデルの終焉
   設計医療における医師の役割
 ・医師の三層構造
   第1層:臨床専門医
   第2層:健康設計医
   第3層:医療インフラ設計医
   3層の関係──ピラミッドではなく、生態系
 ・AI時代の医師の価値
   生成AI×医療の現状
   診断精度で勝つことの限界
   統合判断と倫理的決断の価値
   設計思考と構造提案の価値
   AI時代の医師の本質
 ・医師のキャリアは病院に閉じない
   従来の医師キャリア
   1人の医師のキャリア変遷──実例として
   臨床専門医として
   医学教育の専門家として
   医療インフラ設計医への展開
   健康設計医への拡張
   個人から組織・社会へ
   拡張される活動領域
   インフラ設計者としての医師
   キャリアの流動性
   多様なロールモデル
 ・医師教育の再設計
   現在の医学教育の構造
   現在の教育の限界
   医師自身の学び直し──1つの実例として
   医学教育の再設計の方向性
   カリキュラムの具体的変革
   生涯教育の重要性
   教育改革の課題と展望
   2100年、医師とは何者か
   
第8章 産業界はどう変わるのか ─健康が経営戦略になる時代─
 ・健康経営──従業員の健康は人的資本投資
   健康は「コスト」から「投資」へ
   人的資本開示と健康
   プレゼンティーイズム──見えない巨大コスト
 ・保険セクター──最も強力な推進役
   保険会社──リスクへの対処から、健康への支援へ
   保険会社が持つ3つの強み
   健康保険組合──2,800万人のデータを抱える巨人
   保険と医療の境界が溶ける
   公的医療保険制度への含意──国民皆保険の再設計
   診療報酬制度の再設計
   保険者機能の強化
   2040年、そしてその先へ
 ・異業種参入──医療産業の境界が溶ける
   通信・IT──データインフラを握る者が健康を設計する
   小売・流通──コンビニは医療機関を超える健康インフラになる
   不動産・都市開発──住む場所が健康を決める
   食品産業──毎日の食が最大の医療になる
   「医療産業」という概念の終わり
 ・ヘルスケアスタートアップ──イノベーションの源泉
   なぜ既存企業では足りないのか
   資本市場という見過ごされたインフラ
   IPO市場という残された難所
   スタートアップが担うべき5つの領域
 ・ビジネスパーソンの健康──1人から始まる設計
   経営者こそ「健康の設計者」であるべき
   40歳という転換点
   実例:データに基づく設計が経営判断を変える
   1人から始まる波及
   2100年、「健康産業」は「産業」そのものになる
   
第9章 健康国家戦略 ─医療4.0から健康国家へ─
 ・なぜ国家戦略が必要なのか
   縦割り行政の限界
   基本法という設計思想
   「強い国家」ではなく「賢い国家」として
   ・医療需要の構造的逆算──2040年の数字が語るもの
   社会保障費 =(人口×発症率×重症度×単価)──変数のどこに介入するか
   因果連鎖──介入から効果へ
   3層会計──効果を「分けて見る」ための枠組み
   第1層:財政インパクト(公的医療保険・介護保険の給付費)
   第2層:経済インパクト(労働生産性とGDP)
   第3層:統合インパクト(社会全体の桁感)
   構造転換の積み上げ──結果として見えてくるレンジ
   3層レンジ──時間軸での実現可能性
   統計モデルの限界とエージェントベースシミュレーション
   「面的シミュレーション」の重要性
   移行コストは、誰が払うのか
   優先順位──最初に着手すべき3つの政策
   実装の鍵──インセンティブ設計
   本書の提案と既存政策との関係
   これは「設計」であると同時に「政治」である
 ・「健康国家」という国家ビジョン
   「支援モデル」から「設計モデル」へ
   社会保障の目的の再定義
   KPIの転換──「いくら使ったか」から「どれだけ健康になったか」へ
   Goodhartの法則──「指標が目標になった瞬間、それは良い指標ではなくなる」
   四層の複合指標
 ・0次予防の制度化
   食環境・都市・労働環境の設計
   現役世代の健康を国家安全保障として位置づける
   診療報酬制度の抜本改革
   見えない構造的負担──控除対象外消費税問題の解決
   医療・健康産業の成長戦略化
 ・健康国家を支える二つの基盤──データと規範
   データ基盤の整備
   「Data-Centered医療」という構想──医療DXビジョン2040
   データヘルス改革の発展として
   規範の問い──「どこまで医療をやる国家か」
 ・もし法律にするなら──健康国家戦略基本法の構想
   既存の「健康・医療戦略推進本部」との関係──発展的改編のすすめ
   第一段階──健康国家戦略基本法の制定
   第二段階──本部の射程拡張:健康・医療戦略推進本部から健康国家戦略推進本部へ
   司令塔の「実権」──調整機関で終わらせないために
   第三段階──事務局の強化:健康国家戦略推進事務局の設置
   既存の仕組みを継承する──AMEDと関連協議会の位置づけ
   現場との合意形成──健康国家戦略推進協議会の設置
   なぜこの実装アプローチが現実的なのか
   医療界との協調──対立ではなく共創
   この改革に反対する合理的理由
   「共創の設計」──誰が得をするかを明確にする
 ・2040年というマイルストーン
   この戦略が失敗する条件 
   未完成の設計図として
   設計は、今始まる
   
第10章     2100年の医療を設計する ─次の世代に手渡す設計図─
 ・指数関数的に加速する医療──線形予測の罠を超えて
   「2040年は通過点にすぎない」という認識
   2045年──「人とAIの融合」が日常になる
   2060年──「健康」が個人の努力から社会のインフラへ
   2080年──生物学的老化への介入が標準化する
   2100年──ポスト医療社会、そして人間の再定義
 ・日本から世界へ──課題先進国からソリューション先進国へ
   日本の強みの再定義
 ・次の世代への手紙──なぜ、2100年なのか
   完成を見ないことを前提として設計する
   そして、本書もまたいずれ古びる
   本書は、子ども世代への手紙です
   おわりに